世紀末芸術という抗い難いロマン

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ウィーン・モダン 展 (国立新美術館)
「世紀末芸術」という響きに完全にやられた。時期の問題なのだが、世紀末と言うだけで大変にロマンである。クリムト展と迷ったのだが、今回はトヨタ待ち。以下メモ的感想。

・世界史を押さえたい
額にヨーゼフ2世のいる豪華なマリア・テレジアからスタート。ウィーンを敵から守っていた巨大な城壁が取り払われ、それまでの芸術を網羅し、かつ新しい芸術を切り開いていくリング通りへと歴史を辿る動線。イギリスの鉄道の発展と共に見る芸術というのも過去あったが、街が丸ごと芸術文化というのがヒシヒシと感じられる。

・実用的でちょっと素敵な家具を部屋に
ビーダーマイアー。最近ウィリアム・モリスの壁紙展で覚えたてのフレーズに思わずニコニコ。工業化に伴い手作りの良さ、大切さを再発見する時代。豪華絢爛に自分を飾るものから実用的で優美なスタイルへ。厳しい監視の目の届かない自分の部屋を居心地のよいこだわりの空間へ。食器や椅子など、使える芸術作品と言った感じ。

・「クリムト、シーレだけじゃない」とは言うものの
クリムト展行きたくてうずうずしてるもので。クリムト見られてとても嬉しい。黄金の鎧のクリムト感。知恵と芸術と戦いの女神。分離派の象徴。エミーリエ・フレーゲの肖像も万華鏡のビーズみたいで大変に美しい。モデル本人はあまり気に入っていなかった様子だが。

・分離派って何だか自由そうね
分離派展のポスター郡がたまらなく良い。色んな人が順番で(?)描いてるようだが、どれもデザインがとても素敵。縦長のフォーマットで統一感出てるのが不思議に感じる多様性。

・1周回って装飾なんて不要
展示の最後の方に建築のミニチュアが出てくるのだが、物凄い凝った建物の横に飾り要素0の建物が並ぶのが凄まじいなと思った。人の彫刻とかがたくさんくっついてるのを現代マンションとして建てようとはならない訳だが、急にそれが出てくると暴力的にさえ感じる。花を飾るという妥協案に、それで良いのかと突っ込み。

ゴッホは左耳を、ダリは左手を切り落とす

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フェルメール展 (大阪市立美術館)
現在見つかっている作品数は35点と言われ、世間にはフェルメール作品を見るために世界各国を巡る「フェルメール巡礼」なるものがあるらしい。今回は、そのうちの6作品も一気に見られる稀な機会である。行かねばと新幹線に押し入るGW (自由席満席で指定席デッキにすし詰めの早朝)。

フェルメールは黄色の服がお好き?
窓から差し込む光に照らされる女性たちの豊かな表情と輝く真珠。濃い影に鮮やかな黄色の服が映える。繰り返し登場する毛皮のついた黄色の上着はお気に入りだった模様。フェルメールと言えば青(ウルトラマリン)のイメージが強かったのだが、服は黄色だなぁ…黄色好きだな…と。

・絵画は読み物
こいういものはいけないというメッセージを込めて書かれる教訓絵としての風俗画。カメラ目線の人物(本人なのだとか)がこの様子を紹介しているような構図で描かれている。取り持ち女もそうであるが、絵全体で意味を含むというのに加え、モチーフから意味を読み取るというのも少し新鮮に思いながら鑑賞。タロットカード的なイメージでいたら、西洋絵画に一般的らしい。楽器で恋を、地図で遠い恋人を、絵画の中の絵画で恋の行先を (恋愛ばかりだ…)。完全に読み物。なるほどダヴィンチ・コードとかまさにそういう話だった。

・嘘のない描写
フェルメールはフォト・アイを持っていると言っていたけれど、視点を割り出して、遠近法が正確だから実際に風景を再現出来るって言うのがすごいなぁと思ったビデオ(?)。遠近法もちゃんと出来ないなんてダメだという時代らしい。そして、牛乳を注ぐ女見たかったなぁとしみじみ。でも、日にちとか時間指定は厳しかったなぁ…。

・全てを吹き飛ばすダー子さんのフェルメール
皆様はコンフィデンスマンはご覧になっただろうか?
"あの"真珠の耳飾りの少女のファイルを見た途端に私は色々吹き飛びましたとも、ええ。思わず帰り道に検索してしまった…。映画やるらしい。観ようかな。

・そういえば
美術館に入る際にテレビで見た気がする感じのお兄さんにフライヤーをいただいた。さっき調べたら早朝セレモニーに出ていたボイメン(BOYS AND MEN)の方だったらしい。メーテレで踊ってるのを見た気がする。お疲れ様です。


・余談
「アトリエで仕事をするフェルメールを10分でも観察できるなら、私の右腕を切り落としてもいい」とフェルメールの番組で見たな…腕切るなんて誰が言ったのかなと思って調べたらダリさんでした。かなり傾倒していたご様子。
しかしこの言葉、wikiに載っているも出典が分からず。英語版wikiにも見当たらず。

Dali cut offだのVermeer ten minutesだので探してみると、どうもダリの著作中の言葉っぽい。
『50 secretos mágicos para pintar』(英:50 Secrets of Magic Craftsmanship、日:ダリ・私の50の秘伝)の第1章;
"Van Gogh estaba loco e incondicionalmente, generosa y gratuitamente, se cortó su oreja izquierda con la hoja de una navaja de afeitar. Yo no estoy loco, pero a pesar de ello sería perfectamente capaz de dejarme cortar la mano izquierda; pero esto bajo las circunstancias más interesantes que cabe imaginar: bajo la condición, especialmente, de que pudiera observar, durante diez minutos, a Vermeer de Delft sentado ante su caballete cuando se hallaba pintando"
(ヴァン・ゴッホは無条件に狂っていて、寛大かつ無償で、剃刀の刃で自身の耳を切り落としました。私は狂っていませんが、想像しうる最も興味深い条件下であれば、左手を切り落とすことができるでしょう。特に、フェルメールイーゼルの前に座り、絵を描いている10分間を観察することができるという条件ならば。)

左手っぽいな???

原本開いたわけでもないし、スペイン語だしで訳と出典は微妙です(英語訳のを見るとleft hand)。違うかも。
日本語でも本が出ているようなので、それ買えばきっと一発解決。